第10章 いざ東京へ
夜中にバスで宮城を出発して、早朝に東京に到着。
黒尾さんと海さんが出迎えに来てくれていた。
「おおっあれはもしやスカイツリー!?」
「いや、あれは普通の鉄塔だね」
朝からテンションMAXの龍先輩と夕先輩に対して、海さんが冷静に訂正する。
その隣で黒尾さんは、ぶっひゃひゃひゃと爆笑してる。
それを少し離れて見てる私達。
「朝から元気だよね」
「蛍ごめんね、肩借りちゃってた」
「別にいいよ。それにしてもよく眠ってたね」
「うーでもまだ眠い」
そう言って欠伸をすると涙が滲む。
「おーい優希、ちょっとこっち来い」
大地先輩と話していた黒尾さんが呼ぶから、ちょっと行ってくるね。と蛍に言って呼ばれた方へ向かう。
「おはようございます、黒尾さん。どうしたんですか?」
おう、おはよ。と言ってすぐに大地先輩に向き直って、
「今回も音駒がお借りします」
なんて笑顔で言うから、私も大地先輩もきょとんとしてしまった。
「いや、優希はウチの大事なマネなんでお貸しできませんね」
大地先輩も笑顔で言い返す。
「ちゃんと優希と約束したんで」
黒尾さんがそんな事言うから、大地先輩に笑顔で問い詰められる。
「いや、違いますって。監督と主将が了承したら、って言いました!」
必死に大地先輩に説明する。
そんな話をしながら歩いていると、
「うおおおっ!?!」
と叫び声がしたのにびっくりして会話が止まった。
後ろを振り返ると、音駒の山本さんが龍先輩に膝をついてる。
龍先輩の後ろに居たと思われる潔子先輩と仁花は先に校舎の中へ向かってる。
「優希、荷物置きに行こ」
潔子先輩が呼んでくれる。天の助け。いや、女神の助けだ。
じゃ、また体育館で。と言って私はその場から逃げ出した。