第2章 ようこそ烏野排球部へ
嫌だって言ったのに。
繋心だって理由知ってるくせに。
…いや、理由知ってるからこそ…かな。
「なんだかんだ優しいんだから」
結局繋心に連れて来られて体育館前。
制服は着替えちゃったから私服のパーカーと普通のミニスカートだし。
気まずい以外の何者でもない。
体育館の扉の横に座っていると、
「あ!アサヒさんだっ!!」
急に大きな声が聞こえてびっくりした。
うん、目の前にいる強面の人もびっくりしてる。
「あっ、おっ、俺はっ、そのっ」
なにをあたふたしているんだろうとその人を見ていると
「なんだ遅刻か!ナメてんのか!ポジションどこだ!「え、あ、ウイングスパイカー…」人足んねぇんだ!さっさとアップとってこっち入れ!すぐ!!」
繋心元気だなあ。
これ、私いなくてもいいんじゃない?
よし!帰ろう!バレないうちに。
すくっと気合いを入れて立ち上がった瞬間
「優希!お前も早く入ってこい!」
うっ、バレた。
恐る恐る体育館に入ると、蛍と目が合った。
あはは、びっくりして目丸くしてるよ。
そりゃそうだよね、いきなり繋心がコーチで入ってきて、その上私まで着いてくるなんて。
私は苦笑いを返すしかない。
他の人は私に気付いていないのか、先に入った強面の人の方を見ている。
強面なのに性格はそうでもないのかな?
さっきから誰とも目を合わせないようにしてる。
他の人も強面さんを見る目が普通とは少し違う。
嬉しいけど苦しくて悔しい。けどやっぱり嬉しい。みたいな感じかな。
何も分からないけど、何かあったんだろう。
特に、灰色髪に泣きボクロの人と、逆立てた黒髪に前髪金メッシュの人、それと強面さんの間に。
今から何するんだろうと、周りを見渡す。
ネットの向こう側には嶋田マートの人や電器屋さん、クリーニング屋さんまでいる。
ああ、町内会で繋心が作ったバレーチームか。
話でしか聞いたことないけど、あのチームと試合するのかな。
ふーん。と一人で納得した。