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【HQ】陽のあたる場所へ

第7章 東京に向けて


部活終わりのミーティング、武田先生の元気が無い。
「とりあえず当面のスケジュールを伝えます。確定したら表にして配りますね」
再来週に練習試合、そして東京遠征は東京地区のIH予選が終わった後。

「遠征の場合、親御さんの了承も必要だから、これも後で書類を配るね。学校からの承諾も基本的には大丈夫。ただ…この県内に僕らと同等またはそれ以上のチームはまだまだある訳で、そこをあえて県外まで行こうとしてる訳だね、チャンスだからね」

武田先生が何を言おうとしているのか分からない。
周りを見ても、皆分からないみたいだからいっか。
それより…私親居ないんだが。保護者ならいいのかな?
先生の話が終わったら聞いてみよう。

「で、来月になったら期末テストあるの…わかるよね?」
わかるよね?と言う先生の視線の先にいる龍先輩、夕先輩、翔陽、飛雄の4人は一斉に目を逸らす。
「テスト期間は向こうともだいたい一緒らしいので、合同練習はそれの後という事です。で、予想ついてるかもしれないけど、赤点で補習になる教科がある場合、教頭先生が『補習は週末だよ?場合によっては夏休みにも入る。遠征は物理的に無理じゃないかね 』って」

あ、龍先輩と夕先輩が走って逃げた。
「田中、西谷、どこ行く!どこにも逃げられないぞ!縁下捕まえろ!」
大地先輩が叫ぶ。
「あかっ赤点て何点ですかっ!」
「そっから!?」
慌てる翔陽に孝支先輩が突っ込む。
「影山が息してません」
と言った忠はどこからかAEDを持ってくる。

皆が狼狽えて、叫んで、諦めが入ってる中、大地先輩は
「狼狽えるな!やってやる…全員で東京、行ってやる…!」
と、目が据わっててちょっと怖い。


「え、でも赤点って本当に何点ですか?」
と私が聞けば周りが、えっ…と一瞬止まる。

「優希っ!仲間か!!」
と嬉しそうな翔陽にハテナを浮かべていると、私の横から蛍が突っ込む。
「優希と君じゃ言ってる意味が違うから」

一緒だろ!と叫ぶ翔陽に、
「今年の新入生代表、誰がやったか覚えてないの?」
と何故か蛍が説明する。
んーと頭を捻っている翔陽と飛雄の横で、もしかして…と孝支先輩が気付く。
「あ、私がやりました」
正直に言えば、また叫び声でうるさくなった。
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