第6章 これから
「東京ってもしかして、音駒ですか?」
「練習試合っスか?」
翔陽と飛雄の声に、武田先生は頷く。
「でも今回は音駒だけじゃないんだ。梟谷学園グループ。音駒を含む関東の数校でできているグループで普段から練習試合等をさかんに行っているそうですが、今回音駒の猫又先生の計らいでその合同練習試合に烏野も参加させて貰える事になりました」
武田先生の言葉に、従兄弟を思い出す。
(光ちゃんにも連絡しなきゃなぁ…)
彼はまだ私がバレー部に入ってることなんて知らないはず。
知ったら自分の事なんてお構い無しで私の心配するんだろうな。
会話を聞いてなかった私は、
「「行きますっ!!」」
という皆の声にびっくりして、隣にいた蛍のジャージの裾を掴んでしまった。
蛍は私の行動に驚いたみたいだったけど、特に突っ込まれなくて良かった。話聞いてなかったのバレる所だったからね。
その日の部活終わり、潔子先輩に呼び止められた。
「ねえ優希、相談があるんだけど…」
一緒に帰りながら話を聞く。
「あのね、マネージャーもう1人増やそうと思って」
「え、あの、それは…」
私が不甲斐ないから…という言葉を言う前に、
「優希が何って訳じゃないの。ただ、烏野はこれからもっと強くなる。それなのに来年以降マネージャーが優希1人じゃ大変だから」
そう言ってくれる潔子先輩は前を向いている。
これからの事を考えている。
「マネージャー増やすの、私も賛成です。一緒に探しましょ」
そう言えば潔子先輩は微笑んでくれた。
私も考えなきゃ。
違う、ずっと考えてた。
考えていた事を実行しなきゃ。
「潔子先輩、私も相談があるんですけど…」
私の声のトーンに気づいたのか、潔子先輩が真剣な顔で聞いてくれる。