第6章 これから
「よし、じゃあ飯いくぞ」
ミーティングが終わって、繋心の一言で居酒屋おすわりへ。
「おばちゃん、ごめんね開店前に」
「あら、優希ちゃんも一緒だったのね」
「うん、手伝うよ」
カウンターの中に入っておばちゃんの隣で料理を作るのを手伝っていると、繋心の声が聞こえる。
「走ったりとか跳んだりとか、筋肉に負荷がかかれば筋繊維が切れる。試合後の今なんか筋繊維ブッチブチだ。それを飯食って修復する。そうやって筋肉がつく。そうやって強くなる。だから食え、ちゃんとした飯をな」
「いただきます」
と大地先輩の後に皆が続く。
料理を食べている音、食器の当たる音が聞こえる中、皆の鼻を啜る音が聞こえてくる。
それを聞いて鼻の奥がツンとする。
頑張ったのは、試合をしたのは選手達だ。
悔しいのは選手達だ。
私が泣いている場合じゃない。
そう思っても、堪えきれない涙が頬を伝う。
耐えきれずにその場にしゃがむと、おばちゃんが頭を撫でてくれる。
「優希ちゃんも頑張ったんだよ。だから泣きなよ。私しか見てないんだから」
おばちゃんのその言葉に、私はカウンターの中で誰にも見つからない様、声を出さずに泣き続けた。