第1章 入学式
教室に入り、自分の席を確認して座る。
窓側の一番後ろ。うん、特等席。
陽の光が入ってくる窓の外をぼーっと眺めていたら、ガタッと音がして隣に人が座ったことがわかる。
(お隣さんにくらい、挨拶した方がいいよね?)
考えて隣を向くと、先程助けてくれた彼。
「あ。」
私が言ったのか、彼が言ったのか。
お互いに一瞬止まると、彼の机の前に立っていたそばかすの男の子が、あっ!と声を上げた。
「さっきの女の子!」
と言った彼の声に我に帰って、
「さっきはありがとう」
やっと隣に座る眼鏡の彼にお礼を言えた。
「岡崎さんだよね?俺、山口忠!」
(何で私の名前知ってるんだろう?)
きょとんとした顔をしてたのか、山口くんが慌てながら
「あっ!いきなりごめんね!さっき俺も一緒にクラス割り見たんだ。だから、名前、わかって…」
わたわたし始めた彼に、ふふっと微笑みながら、
「よろしくね、山口くん」
と言えば、彼も笑顔で頷いた。
「うん!よろしく!でこっちはね、ツッキー!」
「…?ツッキーくん?」
「うるさい山口」
「ごめんツッキー!」
「月島蛍。僕の名前」
彼らのコントのようなやり取りを眺めていると、急に眼鏡の彼が名乗った。
「ん、月島くんね。改めて、さっきはありがとう、月島くん」
これからよろしく。と2人に向かって言えば、うん。こちらこそ。とそれぞれ応えてくれた。
高校生活1日目にして、友達ができました。