第5章 IH予選
5月中旬。
皆の練習中、私は潔子先輩と2人で部室の片付けを始めた。
棚の一番上にあるダンボールの中身が気になる。
「潔子先輩、このダンボールも片しちゃっていいですよね」
踏み台に乗って言う私に、頷く潔子先輩。
ダンボールを下ろして中を確認すると、
「これ…横断幕ですかね」
"飛べ"と白い文字で書かれた真っ黒な横断幕。
「優希、これ直せるかな」
「直しましょう!洗って繕えばいけますね」
潔子先輩は何か考えてる様子だ。
「優希に相談なんだけど…これ、私1人で直してみてもいいかな?皆の為に何かやりたくて」
少しして、控え目に尋ねられる。
「もちろんです。でも、何かあったら言って下さいね、手伝うので」
と言えば、
「ありがとう、私の我儘聞いてくれて」
と言いながらギュッと抱き締められる。