第4章 閑話いちー青葉城西
「国見たちと同じ中学なら北川第一だろ?岩泉たちは中学の時は優希ちゃんのこと知らなかったのか?」
「えっ、優希ちゃん北一なの?俺知らないよ!」
松川さんの声に一番に反応したのは及川さんだった。
及川さんが知らないのはおかしい!なんて言ってる。
「あ、私2年の途中で転校してきたので」
「でも、俺も岩ちゃんも何度かバレー部見に行ってるよ。岩ちゃんは優希ちゃんのこと見覚えある?」
「ねえな」
「だと思いますよ。優希一度も体育館に来たことなかったですし」
「教室か図書室で勉強してました」
英に続けて説明する。
「転校前は何処の学校だったの?」
「東京です」
「おお!都会っ子だ」
なんて笑いながら花巻さんと話していると、その隣で及川さんは何かをブツブツ言っている。
「東京…バレー…岡崎優希……あぁっ!!」
その声にびっくりして、皆一斉に及川さんの方を向く。
うるせぇぞ、クソ川!って怒鳴る岩泉さんを無視して、
「舞姫だっ!」
と叫ぶと、及川さんを見ていた皆が一斉に此方を向く。
「舞姫…ご存知なんですね」
俯く私に、及川さんは静かに問いかける。
「憧れだったんだ。ずっと目標にしてた。なのに…なんで急にバレー辞めたの」
「怪我です」
「ただの怪我なら…治して復帰だって…」
「そうですね。バレーで怪我をしたのなら、私も復帰したいと思いました」
えっ。と不思議そうな声を出した及川さんの目を見て話し続ける。
みんなも静かに聞いているみたいだ。