第4章 閑話いちー青葉城西
GWが終わって学校が始まった、ある月曜日。
今日は体育館の点検があるから、部活は休みだ。
ピロンっとスマホがメールを受信する。
中学の時に同じクラスで、仲良くしていた英だ。
〈今日暇?スイーツ食べに行かない?〉
メッセージと一緒に送られてきたのは、食べ放題の割引券。
《え、行く行く!》
〈じゃあ学校終わったら駅で待ち合わせね〉
〈あ、金田一もいるから〉
《だと思った!じゃあ放課後に〜》
放課後が楽しみすぎて、終始ニヤけていたのかもしれない。
「優希、顔ニヤけすぎて怪しいんだけど」
って蛍に言われるくらいだから。
「中学の時の親友とスイーツ食べに行くの楽しみなんだもーん」
笑顔で言えば、そう、良かったね。って頭を撫でてくれる蛍は優しい笑顔だ。
そして放課後。
駅に着くと、英と勇太郎はすぐに、お待たせ。と言いながらやって来る。
なんだかんだで高校に入ってから会ってなかったから懐かしいような、でもそんな事もないような、とりあえず
「2人に会えて嬉しいっ!」
と笑えば、2人も私の頭を撫でて笑ってくれる。
お店に着くまでも、2人との久しぶりの会話が盛り上がる。
「英って白ブレザーも似合うんだね」
「金田一は似合わないけどね」
「うるせー!わかってんだよ!」
アハハっと笑っていると
「国見ちゃーーん!金田一ーー!」
2人を呼ぶ声がした途端、英は顔を思いっきり顰めるし、勇太郎はテンパりだす。
「2人ともミーティング終わった途端に帰るんだもん。みんなでファミレスでも行こうと思って探してたんだ…って!優希ちゃんっ!」
急に現れた及川さんは、私に気づいた瞬間目をキラキラさせながら腕を広げる。
何故か危険を感じた私は英の背中に隠れてブレザーの裾を握る。
「及川さん、とりあえず優希に近付かないでください」
「なんで国見ちゃんにそんな事言われなきゃいけないのさっ」
急にしたゴンって音と、痛いっ!って泣き叫ぶ及川さんの声にびっくりして英の背中から顔を覗かせると、及川さんを思いっきり殴ったらしい岩泉さんと、その後ろにあと2人。
あ、英がまた顔を顰めた。