第3章 GW合宿
「潔子先ぱーい!内沢クリーニングさんの所、受け取りに行ってきますね!」
「あ、うん。ごめんけど、お願いしていいかな?」
「ラジャです!」
って気合い入れて来たのはいいんだけど…
「ね、いいじゃん。遊び行こうよ」
「俺ら奢ってあげるからさ〜」
目の前にはチャラそうな人が2人。何で絡まれてるんだろう、私。
「いや、私部活中なんで」
さっきから散々断ってるのに、何で諦めないのー!?
「そんな事言わないでさ〜」
「照れなくても大丈夫だって。行こ行こ〜」
不意に手首を掴まれる。
痛い。何この人、意外と力強いし。
「離してくださいっ」
「おい、何やってんだ。嫌がってんだろ」
ふと聞こえた声。私の手首を掴んでる目の前の男の人の手首を掴む、横から伸びる手。
「そうそう、嫌がってるのがわからないのかなぁ〜」
威圧感のある声と、反対側から優しく肩に置かれる大きな手。
ちっ。と舌打ちして去っていくナンパ男たち。
(ふぅ。よかった、助かった)
「あの、ありがとうございました。助かりました」
とお礼を言うと、そこにいたのは白いジャージを着たツンツン頭の人と爽やかイケメンさん。
「おう。…お前、手首赤くなってんじゃねぇか。ちょっと待ってろ」
そう言って、近くの公園に走って行ったツンツン頭さん。
ジャージの背中の文字が見える。青葉城西。しかもバレー部。
すぐに戻ってきたツンツン頭さんは、ん。と水で濡らしたタオルを差し出す。
「それ、まだ使ってないヤツだから当てとけ」
「あ、ありがとうございます」
「岩ちゃんやっさしー」
と茶化したイケメンさんは私の方を振り向くと、
「大丈夫だった?あんまり1人で出歩いちゃダメだよ。キミ可愛いんだから」
と、私の顔を覗き込みながら頭をポンポンする。
「あれ?んー…キミ何処かで俺と会ったことない?」
ありませんけど。と言っても、うーん。と唸っているイケメンさんの頭を、ツンツン頭さんが思いっきり殴る。
「てめぇがナンパ野郎みたいな事言ってんじゃねぇよ!」
なんなんだ、コントか何かなのか。
そういえは、何かを忘れてるような…
「あ!クリーニング屋さん!」
思い出した私は、もう一度、ありがとうございました。と頭を下げてから、慌てて走り出した。