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【HQ】陽のあたる場所へ

第3章 GW合宿


夜、今日の練習の記録を渡そうと繋心を探す。
(どこにいるんだろ?)


しばらく歩いていると、
「ー迷わず影山を選ぶべきだと思います」
(?孝支先輩の声?)
「影山が疲れた時、何かハプニングがあった時、穴埋めでも代役でも、"3年生なのに可哀想"って思われても、試合に出られるチャンスが増えるなら何でもいい」

わわ、これ出て行けない雰囲気。
私は慌てて壁の陰に隠れた。
陰から覗くと、背中を向ける繋心と繋心に向かい合う孝支先輩。

「菅原、俺はまだ指導者としては未熟だが、お前らが勝ち進む為に俺に出来ることは全部やろう」

うん、私も出来ることは全部やる。
よしっ!と1人で気合を入れていると、優希ーと私を呼ぶ孝支先輩の声。
え、何で私呼ばれてるの?隠れてるよね?
「さっきそこに隠れたの見えてたべ」
なんて言われたら出て行くしかないじゃないか。

「すいません。盗み聞きするつもりはなかったんですが…」
「んーん、いいんだ。ただ…」
孝支先輩は私の首に腕を回し抱き締める。
「ごめん、ちょっとだけ…」

孝支先輩も勇気を出して繋心に言ったんだ。
自分だって試合に出たいのに。
それでも、"烏野"が勝ち進むことを選んだ。

泣きたいのは孝支先輩のはずなのに。
私は泣きそうになりながらも孝支先輩の背中に手を回す。

孝支先輩の肩が一瞬ピクっとなったけど、そのまま私の肩に顔を埋める。
「ごめん…ありがと」
耳元でボソッと囁かれた後、肩が少し濡れた気がする。
何も言えないことがもどかしい。
私は孝支先輩の背中を摩ることしかできなかった。


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