第3章 GW合宿
翌日、昨晩の日向くんの叫び声の理由か気になって聞いてみたら、夕先輩のことを子供の幽霊だと思って龍先輩と騒いでたみたい。
その後夕先輩も一緒に大地先輩に怒られたらしいけど。
1日目から面白い事ばっかだなぁ、なんて思いながらロードワークに行く皆を見送る。
ドリンクの準備をしていると、隣で潔子先輩の携帯が鳴る。
大地先輩からで、日向くんが迷子になった、と。
私、探して来ますね。と携帯だけ持って学校を出た。
しばらくキョロキョロしながら歩いていると、目の前に真っ赤なジャージの人が。
見た事ないジャージだな、と思いながらすれ違おうとした所で
「あの、」
と声を掛けられた。
はい?とその人の方を向くと、大きい…トサカ?
(蛍と同じくらいかな?でもこの人の方が体格がいいから大きく見える)
「この辺でプリン頭のヤツ見ませんでした?」
と聞かれたから、いや見てないです。と答える。
「もしかして迷子探しですか?」
「そう。この辺初めて来たからわからなくて…お!」
彼がスマホを取り出すと、少し操作をして画像を見せられた。
「ここの場所わかる?」
はい、案内しましょうか?と答えれば
「ありがたいけど…そっちも用事あったんじゃねぇの?」
って。優しいな、見た目と違って。
「私も迷子探しですから。歩いてれば見つかるかもですし」
そっか、さんきゅ。と言われたので、画像に写ってた空き地に向かって一緒に歩き出す。
「あ、ちなみにオレンジ頭の元気な少年って見かけました?」
「いや、見てねぇな」
他愛ない話をしながら歩いて、隣を歩いている彼は黒猫みたいだと思った。
人当たりのいい笑顔をしているけど、何処と無く胡散臭い。
「あぁー!ここ右だったのか!悩んで左に行ったのに…くそっ」
あ、これは本心っぽい。
ふふっ、面白いな。気まぐれな黒猫とお散歩してる気分。
空き地はすぐ近くだった。
「お!いたいた。さんきゅな」
と私の頭にポンっと手を置く黒猫さんに、
「いえ、私も見つけたのでお互い様です」
と日向くんを指差す。
研磨!とプリン頭さんを呼ぶ黒猫さんを横目で見ながら、私は日向くんの元へ歩き出した。
歩いていた時、ふと黒猫さんのジャージを覗き見た。
上は脱いでいたけど、ズボンに印刷されてた。"NEKOMA"って。
道端で出会った黒猫は因縁の相手でした。
ふふふ、面白い展開。