第3章 GW合宿
皆で賑やかなご飯を食べ終わると、潔子先輩は帰る時間だ。
「優希、やっぱり私も後片付けやるよ」
「大丈夫ですよ。皆がお風呂入ってる間は暇ですし。後片付けくらい任せて下さい!」
潔子先輩は渋々だったが納得してくれた様だ。
「それよりも潔子先輩、気を付けて帰ってくださいね!」
うん、ありがとう。と潔子先輩は手を振って帰って行った。
(よし、皆はお風呂に行ったから、今のうちに片付けしちゃいますか)
武田先生と話しながら片付けをしていると、ぎゃあああー!と叫び声が聞こえた。
思わずビクッと肩が跳ね上がった私とは対照的に、これは日向くんの声ですね。なんて武田先生は冷静だ。
うん、なんか先生と居れば怖くない気がする。
後片付けが終わり、1人で食堂で休んでいると、扉が開いて西谷先輩が入ってきた。
西谷先輩…だよね?
「どうかしました?」
と尋ねれば
「おぉ優希!風呂入ったら喉乾いてな。水くれ」
うん、やっぱり西谷先輩だ。
お風呂に入って髪がぺちゃんこなだけだった。
はい、どうぞ。とコップに水を注いで渡すも、私は西谷先輩の髪型が気になる。
「なんだよ、お前も子供だとか思ってんのか」
不満気に口を尖らせる西谷先輩。か、可愛い。
「いや、普段の西谷先輩はカッコイイですけど、髪がぺちゃんこな先輩は可愛いな、って」
って言って焦った。
「ご、ごめんなさい。先輩相手に可愛いなんてっ」
きょとんとした西谷先輩は、ワハハっと笑うと私の頭に手を乗せ、ポンポンしながら
「優希はいつも可愛いぞ!」
って。や、普通に照れるんですけど。
恥ずかしくて俯いた私に、ワハハと笑いながら頭ポンポンする西谷先輩。
しばらく俯いていると、でもな。と真剣な声が聞こえた。
顔を上げて先輩を見上げると
「男に可愛いはどうかと思うぞ。俺は可愛いよりカッコイイって言われたい」
「す、すみません」
私が謝ると、さっきの真剣な声が嘘の様に笑いながら、おう、許してやる。と言ってくれた。
「その代わり、これから俺のこと名前で呼べよ。夕先輩って言われてみてぇ」
「はい。夕先輩!」
笑顔で言うと、先輩もニカッと笑って食堂を出て行った。
その数十秒後、
「優希!ノヤっさんのこと名前で呼んでんのか!おっ、俺っ、俺もっ名前っ!」
と龍先輩が凄い勢いで食堂にやって来た時は笑ってしまった。