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【HQ】陽のあたる場所へ

第3章 GW合宿


「おーい、何やってんだー?」
天の助けだ。
「す、菅原先輩!助けてください!」
部屋に荷物を置いて戻ってきた菅原先輩に助けを求めると、泣いている2人を見て溜息をつく。
「お前ら、早くしないと大地に怒られるぞ」
その一言で嵐の様に去って行く2人を眺める。
さすが菅原先輩だ。いや、さすがなのは大地先輩の存在なのか?

「さ、優希も行くべ」
と言いながら私の手を取って歩き出す。
「あ、は、はいっ」
手を繋がれた事に慌てながら付いて行こうとすると、菅原先輩が急に立ち止まってこちらを振り向く。
「あ、あのさ…」
ん?と先輩の目を見ると、何かを言いたげだ。
「俺のことも、名前で呼んでくれないかな?」
きょとんとしていると
「あ、その、大地も旭も名前で呼んでるだろ?だから…何ていうか…」
尻すぼみになっていく先輩が可愛く思えた。
ふふっと笑って
「行きましょ、孝支先輩」
と笑顔で言えば、おう。と先輩も笑顔を返してくれた。





ーsaid菅原ー


優希に名前を呼んで貰えただけで、なんか、こう、上手く言えないけど、フワフワする。
大地も旭も名前呼びだから。って、最もな理由をつけたけど、俺はただアイツらが羨ましかっただけだ。

そりゃあ、2年とかにも"スガさん"って渾名で呼ばれてるし、今までは別に何とも思ってなかった。
でも、だけど、優希には苗字とか渾名とかじゃなくて、名前で呼ばれたかった。
そう、ただそれだけなんだ。

結構勇気出して言ったのに、優希はすんなりと名前で呼んでくれた。
優希の笑顔を見て思う。

あぁ、俺は優希が好きだ。

自分の気持ちに気付いてスッキリしていると、
「孝支先輩?行かないんですか?」
と優希に顔を覗き込まれる。

下から覗き込まれた上目遣いにドキッとしたのをバレないように
「行くべ行くべっ」
と言って笑うと、先ほど掴んでそのままだった優希の手を握り直して食堂へ向かった。


ーsaidendー
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