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【HQ】陽のあたる場所へ

第2章 ようこそ烏野排球部へ


バレーは好きだった。
だって私が一番初めに自分の意思でやり始めたものだから。
バレーは嫌い。
だって今の私にはバレーができないから。
でも、バレーから離れるなんてできない。
部屋にあるバレーボールを手放せないことなんて、分かりきってる。


私は…

バレーが大好きだから。


自分がプレイできないバレーは嫌いだった。
やりたいのにやれない環境なんて要らないと思った。

ただ、大地を駆け回るための脚が欲しかった。
ただ、空を飛び回るための翼が欲しかった。


でも、この人達とならできるかもしれない。
私が見れなくなった頂の景色を、また、見せてくれるかもしれない。



私は意を決して立ち上がった。


一歩前に踏み出し、全員の顔を見てから言葉を放つ。




「1年4組岡崎優希です。烏野高校男子排球部のマネージャーとして入部させて下さい!」





ペコっと下げた頭を上げた瞬間、皆の笑顔が向く。

「こちらこそ。烏野高校排球部へ「「「ようこそ!!」」」」


あぁ、泣きそうだ。



3年生はみんな微笑んでいる。
西谷さんと田中さんは号泣しているのに、他の2年生は無視して笑ってる。…何故号泣?
影山くんは相変わらずだけど、
忠と日向くんは凄く良い笑顔だ。
いつも冷淡な蛍ですら、優しい顔をしている。

この環境でバレーに関われる。

幸せだ。



部員の向こう側にいる繋心と目が合うと、呆れたような、ホッとしたような、そんな顔で頷かれた。

繋心にも沢山心配を掛けてしまった。
これからはマネージャーとして恩返しをしようじゃないか。





私が幸せに浸っていると、横からトントンっと肩を叩かれる。
振り向くと、マネージャーの先輩が立っていた。

「私、3年の清水潔子。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。清水先輩」
微笑んでくれた清水先輩に微笑み返すと、
「潔子って呼んで。私も優希って呼ぶから」
と言ってくれたのでお言葉に甘える。
「これからお願いしますね、潔子先輩!」
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