• テキストサイズ

【ツキプロ】篁志季と私の8日間

第1章 S


「あら〜。回覧板も落としちゃって〜」

突如として現れた母は、ずっとニコニコしてる。

志季さんと私はそっと身体を離した。
志季さんは真面目な顔をしていた。
志季さんを欲している私のこの身体は、まだ志季さんに寄り添おうとしていた。
だが、脳がゆるしてくれない。
苛立ちを感じた。

「お母さん、突然どうしたの?」
私の口調が少し怒りっぽくなっているのが自分でも分かった。

「いやー、愛する娘の初めての一人暮らしですもの。親が様子を見に来るのは当然じゃない!」
やはり母は笑顔だった。
「もしかして、そこの彼とイチャイチャしてたのを邪魔しちゃったかしら?それで怒ってるの?」
私は恥ずかしくなって身体中が熱くなった。
「そんなんじゃないし!そもそもこの人は…」
誤解を訂正しようとしたが、母は解ってくれなかった。
「はいはい。この感じだと、私が様子見に来なくっても大丈夫だったようね。そこの彼!唯愛をよろしくね。」

「いや、お義母さん…」

“ お義母さん!?…ってなに!?”
私はとても恥ずかしくなった。
まるで結婚前のカップルの呼び方だ。
志季さんが何を言い出すのか、少し不安になった。

「ちょっと、お義母さんだなんて…」
私は頑張って訂正しようとした。

「ねー唯愛。この人と二人きりにさせてくれないかしら?」
真顔で母が言う。
ニコニコしていた、さっきまでとは違う表情で……。

「な、なにを話すのよ!この人だって忙しいはずよ!」
私はとても焦っていた。

「別に構わない。」
志季さんは、やはり真面目だった。

「じゃあ、近くの喫茶店に移動しましょうか。」
二人は歩き出した。

「ちょっ。待ってよ。」
動き出した二人に対して、ものすごく動揺した。

「私、一週間は此処にいるつもりだから。」
母はそう言って行ってしまった。
私は後を追うことは出来なかった。

二人がどんな会話をするのか、全く分からなかった。
/ 21ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp