第1章 S
寝室は閑静に包まれていた。
真っ暗な部屋で2人きり。
今晩も昨日のように、2人でここで…。
志季さんの腕は私の腰に回されたままだ。
触れられてることを意識すると、顔が熱くなる。
“こんなこと、絶対に有り得ないのに。”
今更だが、私は夢を見ているような気がした。
すると志季はそっと唯愛から離れた。
「志季さん?」
私は不覚にも、まだ志季さんの体温を感じていたかった。
「俺はまだ熱がありそうだ。今日はもう寝ることにするが、唯愛はどうする?」
寂しかった。でも、熱があるなら仕方ない。
触れたい気持ちを抑えて、私も寝ることを決意した。
「私も、そうする。」
「ああ。お前はベッドで寝ろ。俺はこっちのソファーで寝る。」
「なんで?志季さんもベッドで…」
「熱を伝染したら大変だろう?」
私は我慢できなかった。
そして、思わず志季さんに後から抱きついた。
「…昨日はあんなこといっぱいしたくせに、今日は放置だなんて、寂しいよ。焦らさないで。」
「…今日は辞めておこう。すまない。」
志季さんの気遣いを踏みにじって、私は志季さんにキスをした。
「私はこれで、風邪が伝染ったかもしれない。だから、この先も大丈夫。」
「…フッ。お前が言ったからな。」
「う、うん!」
志季さんと触れられるのなら、何をしてもいい。
ただ、体温を感じていたい。
私と志季さんはベッドに倒れ込む。
志季さんは私のブラウスのボタンを1つずつ外していった。
そして、下着も…。
月明かりに照らされた私の裸体を見て、志季さんは「綺麗」とぼやいた。
恥ずかしがってる私の顔を眺めては、志季さんは微笑んでいた。
既に熟している下半身に志季は手を伸ばす。
「も、もう…?」
「…」
志季は何も答えなかったが、ゆっくりと指先で掻き回した。
もう一方の手は胸に添えられた。
そして、優しいキス。
昨日のような激しさはなく、穏やかだった。
舌先は唇からどんどん下へと降りていった。
終には、下半身へと。
指で掻き回しながら、舌先でも掻き回してくる。
舌先は初めてで、不思議な感覚だった。
そして、とても心地の良いものだった。
「もっと。」
私は無意識に要求していた。
身体はビクついてはいるものの、頂点にはまだ達していない。
優しい志季の舌先はだんだん加速していった。