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【ツキプロ】篁志季と私の8日間

第1章 S



私は非常に気まずかった。
それはもう足取りは重く…。

「唯愛ちゃん。おはよう。」

「えっ。あっ!はいっ!おはようございます!」

私に挨拶をしてきたのは会社の上司、鷹先さんだった。

「こほんっ」
鷹先さんは咳払いをした。

私はとても焦った。

「ねー、唯愛ちゃん。昨日はどうして会社に来なかったの?それも無断欠勤で。」

「えぇっと。」

芸能人である篁志季と出会って、夜な夜な…だなんて、事実だけど言えない。

「言えないことなのかな?」

私は耳にしたことがある。
鷹先さんは優秀で真面目だからこそ、怖い一面があると。

「い、いえ。そんなことでは…」

“諸そんなことだよっ!(泣)”
大ピンチである。

「…」

鷹先さんは難しそうな顔をした。

“やっぱり怒ってる!”

私は恐る恐る聞いた。

「…あの。怒ってます?」

「うーん。そうだねぇ。まだ唯愛ちゃんは新人だから良いもの…。これから先、重要人物になってくると、個人問題じゃなくて会社の問題になっちゃうからねぇ。無断欠勤はすごく最低行為だと僕は考えてるよ。」

“やっぱり怒ってたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ”

「そうですよね。本当に申し訳ございませんでした!」

「許してあげたいけど…来れなかった理由も言えない様じゃ…ねぇ。」

「ホント、すみません!」

「社長には僕から謝っといたから。後で唯愛ちゃんも謝っておくように。」

「はい。申し訳ないです。」

私は、どうしようもない馬鹿だと思った。
どんな状況に置かれていても、連絡はするべきだと思った。
落胆してしまう。
それに私は志季さんと出会えたという嬉しさで、目の前のことを考えられなかった。
最低な自分を殴ってやりたい。

「まぁ、そんな落ち込まないでよ。」

「へ?」

「僕も新人の頃は失敗をよくしたものさ。」

「そうなんですか?」

ハイスペックな鷹先さんが失敗するなんて考えられなかった。

「うん。でも、そこで落ち込んでいたら前には進めない。出来る仕事も出来なくなっちゃうよ?」

「はい。そうですよね。」

私は頑張って作り笑いしてみせた。

「…僕は上司。後輩ちゃんの悩みを聞いてあげるのも僕の役目。一体何があったのか、僕だけに話してくれない?」

鷹先さんは優しい顔をしていた。

「はい。」
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