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【ツキプロ】篁志季と私の8日間

第1章 S




アレから数時間が経った。
志季さんは、隣でスヤスヤと寝ている。
きっと、疲れたのだろう。

“あんなことしておいて、先に寝ちゃうなんて”

私の表情筋が緩む。つい笑ってしまう。
プレイ中は激しくてSになるクセに、普段はこの寝顔みたく優しくて真面目で…。
そのギャップに萌えてしまう。

「……?」

志季さんが目を覚ました。

「あ、ごめんなさい。起こしちゃったかな。」

志季さんはまだ眠いはずの目を擦りながら身体を起こす。

「……唯愛。」

急に名前を呼ばれると、ドキッとしてしまう。

「………何か…?」

私は自分の頬が火照っているのがわかった。
照れ隠しのつもりで顔を逸らした。

「……」

名前を呼ばれたものの、志季さんは何も答えなかった。
だが…、急に志季さんが私の方に近づいてくる。

“ま、また。侵されちゃうのかな!?”

私は焦った。が、予感は違った。むしろ、大変な方向に進んでしまった。

志季さんのおでこが私のおでこにぶつかる。

「あつっっ。」

志季さんは熱を出していたのだ。

「すまない。頭が重くて、身体全身がダルい。これは、多分熱だ。」

「あ、うん。多分じゃなくて絶対そうだと思う。」

とりあえず私は体温計を渡した。

「熱、計って!あと…服着よ?」

時計の針は4時を過ぎていた。
いつヤっていたのか、正確に時間は分からないけど、何時間かは経ったはず。
まだ肌寒い春に、服も着ないで寝ていたら熱も出るだろう。

「あぁ。そうだな。」

そう言って服に手を伸ばす。
だが、思うように身体が動かないのか手を伸ばしても服が取れない。

「俺の服、取ってくれないか?」

志季さんは淡々とそう言った。
私はドキドキしながら服に手を伸ばした。
服を持ち上げた瞬間、フワッと柔軟剤の香りがした。

“これが…志季さんの香り。”

私の鼓動は加速していった。
志季さんの香りはとても良い匂いだった。
優しくて、でもどこか大人の色気を感じさせる匂いだった。
まるで、志季さん本人のような…そんな気がした。

「何やってるんだ?」

私は自分が変なことをしていることに気が付き、すぐさま志季さんに服を渡した。

「あ、はい!服!!」

私はバレてないか不安だった。

「お前、さっき…匂ってたのか?」

思いっきりバレていた。
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