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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第7章 愛の唄 Ⅵ


***


―――――深く、深く、眠る。

―――――深い場所へ、堕ちていく。





(―――――今度は――――?)


 景色が、燃えている。周囲全てが、燃えていた。ここは日本ではないのかもしれない。石造りの建物が、火に囲まれている。その中で、人々が喘いでいた。その中に、十を持った兵士の大軍が押し寄せてきた。ダダダダ、と、銃声が響く。ぱたん、ぱたん、と呆気なく絶命していく人々。



 また、景色が切り替わる。明らかに、日本ではない光景だった。アジア系の、褐色肌の少女が、目の前でキラキラと笑っては、ふわふわと視界から消えていった。
 夜。サイレンがけたたましく鳴り響く。慌てふためく人々。慌てて村の外へと出ようと走る。その瞬間、響き渡る爆発音。地鳴り。
 翌朝、村の境界線付近には、四肢の繋がっていない、見るも無残な死体が、無数に転がっていた。その死体を、軍の装甲車が踏み潰しながら進んでいく。装甲車は、やがて停車する。中から下りてきた軍人が、褐色肌の少女を殴りつけ、車内へと引き摺り込んだ。

 少女の悲鳴と嬌声が入り混じったような声が、装甲車の窓から漏れ聞こえる。


「――――く……ッ。」
 感情を殺したような、天草の声。


「決めた。私は決めたのだ。私は全てを、救ってみせると。
 あの犠牲を無駄にはしない。
 人を救うことを止め、人類を救ってみせると。
 善なる者も、悪しき者も、富める者も、貧しい者も。
 健康な者も、病める者も、聡明なる者も、愚かな者も。
 美しい者も、醜い者も、幸福な者も、不幸な者も。
 愛する者も、憎い者も、全て。総て。凡て。すべて。
 どのような人間であろうとも、等しく救う。

 聖杯の力を使い、人類すべて不老不死にして虚栄心を鎮める。
 人類全てが善き存在であるように、第三魔法を適用させる。
 あらゆる悪を駆逐し、世界の平和を実現させる。
―――――俺が、万人の幸福を導く。

 もはや俺に残された道は、それしか無いのだ―――――」



 少女は、その身を車から放り投げられた。服は全て剥ぎ取られており、秘所からは白濁した液体がどろりと垂れた。その不快感が最後の一押しとなり、私はもう、耐えられなくなった。







 急浮上する意識。夢が醒めていくことが、はっきりと分かった。




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