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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第7章 愛の唄 Ⅵ




「―――――ぁぁぁぁああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!! があ゛ぢゃあ゛ああぁぁあ゛あ゛ん!!!!!!!!!」

 広場のような場所で、男の子が役人たちによって、蓑(みの)を巻かれる。一体、何が始まるのか。嫌な予感だけが、募る。

「さぁ少年、最後にひとつ、舞を舞うがよい! ひとつ、派手にな!」
 そう言って、役人の1人が、男の子の蓑に、火をつけた。

(―――――――!?)
 今、この人たちは何をしたのか。生きた人間に火を点ける? そんなの、正気の沙汰じゃない。しかも、まるで見世物のようにして、だ。年貢を納めなければこうなるということを見せしめにする為なのだろうが、それにしたって、酷過ぎる。こんなの、絶対におかしい。

「―――――ぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛!!!! だずげで、があ゛ぢゃあ゛ああぁぁあ゛あ゛ん!!!!!!!!!! だずげでぇぇぇぇぇぇぇぇえだずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!!!!!!!」

「ぃ、い゛ちたああああ゛あ゛ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 男の子と母親の悲鳴が、周囲に張り裂けんばかりに響き、蓑は勢いよく燃え盛る。男の子は、泣き叫びながら、ゆっくりと燃える。最初は跳び上がったり身を捩ったりしていたが、一度地面へ転倒してからは、起き上がれなくなった。そのうちに、火の勢いはさらに増し、喉が焼かれたのか、声も出なくなった。母親は、それでも叫び続けている。私は、その光景を、ただ茫然と見つめていることしかできない。ただ、働きの悪くなった私の頭でも分かる。こんなのは、おかしい。こんなのは、お偉いさんだろうがその手下だろうが、絶対にやっちゃいけない。言い様の無い不快感と怒りが、私の奥底で渦巻いた。

「ハハハハハ!! これぞ名物『蓑踊り』!! 年貢が収められん愚民どもは、こうなってしまうのだ!! 皆の衆! このような目に遭いたくなければ、精々励め! ハハハハハハ!!」

「ぐ……ッ!」
 小さく聞こえた、声。間違いない。天草の声だ。彼の拳は、震えていた。彼はこの光景を、如何なる気持ちで見ていたのだろうか。
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