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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第6章 愛の唄 Ⅴ



 やはり、踏み込むのは、危険なことのような気がする。私の脳が、でも、やはり私は、彼に魅せられている。彼のことが、知りたい。手を伸ばさずにはいられない。ただ、“天草四郎”という存在に触れたくて、仕方がない。この気持ちは、以前から少しも変わらない。むしろ、強くなっているかもしれないぐらいだ。

「どうぞ。私に答えられることでしたら、お答えしますよ。」
 そう言って、天草はティーカップを机の上へと戻した。

「……。うん。ずっと、気になってた。そこまでして、君は何が欲しかったのかって……。君と私はほんの少しの時間しか一緒にいないけど、君はどう見たって常識のあるタイプだし、争い事を好むような性格には見えない。そんな君が、武力に訴えてまで、何を求めたのかなぁって、それが気になって。」
 そう言い終えて、私は天草を見る。正直に話してくれるかは謎だけど。
「聖杯です。」
 しかし彼は、私の予想に反して、きっぱりと口にした。
「せいはい……?」
 聞き慣れない言葉だ。

「はい。聖なる杯(さかずき)と書いて、聖杯。簡単に言えば、何でも願いが叶う、奇跡のアイテムですね。」
「何でも、願いが、叶う……。」
 いやいや、いくら何でも眉唾過ぎる。新興宗教でも、そんなモノがあるとは言わない気がする。でも、彼が嘘を言っているようには見えない。それに肝心なのは、その“聖杯”とやらあったとして、天草が何を願おうとしていたかということだ。あんなにも、自分自身が傷つくことになっても、叶えたかった願い、その内容だ。

「その、願いって……?」
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