愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】
第5章 愛の唄 Ⅳ
「スモール・レディ。それでは私がアナタに、魔法をかけて差し上げましょう。」
背後から突然聞こえた声に肩を震わせたのは、今度は私だった。
振り返れば、あの妙な仮面をつけた天草四郎が、右手に薔薇の花を持っている。一体、どこから取り出したのだろうか。
「ぇ……?」
女の子は、呆然として、口を半開きにしている。ついでに、私と職員も同じだった。彼は、特に空気を読まず、薔薇の花を少女の目の前へと差し出した。少女は固まっており、全く動けないでいる。
「ローズ・プリズムパワー・メイクアップ! スモール・レディに、ほんの少しの勇気を。」
彼の声に合わせるようにして、薔薇の花が光となり、女の子の目の前で散った。原理は全く分からないけれど、とても美しい光景だった。……ついでに、呪文のセンスも、全く分からない。
「わ、わぁ……! きれい……! すごいね! サンタアイランド仮面さん!」
少女は、その瞳をキラキラと輝かせた。
「これで、もう大丈夫ですよ、レディ。もはやアナタが恐れるものは何もありません。それでは、さらばです。」
そう言って、サンタアイランド仮面は、一瞬のうちに姿を消した。
「あ、あの、サンタのおねえちゃん……! わ、わたしにも、プレゼント、ください……!」
女の子は、キラキラとした顔で、私からプレゼントを受け取った。
こうして、イベントは、大成功に終わった。気が付けば彼は、元いた場所で、裏方の業務をこなしていた。服装も、黒いズボンにコート。先程までと全く同じ服装だった。