• テキストサイズ

愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第4章 愛の唄 Ⅲ


「お義父さん。」
 たしなめる様に、四郎が老人に視線を送った。
「あぁ、ハイハイ。これじゃあ、どちらが年上か分からんのぉ……。改めまして、この分教会の長をしております、益田茂蔵(ますだ・しげぞう)でございます。70歳のジジイで男やもめじゃが、まだまだ元気! 彼女募集中!!」
 そう言って、茂蔵と名乗ったおじいさんは、人懐っこい笑顔を浮かべた。人の良さが伝わってくるような、そんな笑顔だった。一緒にいるだけでどこか安心できるような、そんな雰囲気を持った、おじいさんだった。
「ホレ! 四郎もご挨拶!」
「えっと……、初対面ではないのですが……。まぁ、いいでしょう。改めまして、今はこの分教会でお世話になっています、益田四郎です。」
「益田、四郎……。」
 私は、思わずその名前を繰り返してしまった。それは紛れもなく、“彼”の本名に他ならなかった。こんな偶然が、本当にこの世にあるのだろうかと、衝撃を受けた。
「ほほ! お嬢さんもピンと来たか! そう! 珍しいことに、あの“天草四郎”の本名と同じになってしまったという、この奇跡! 日本人(にっぽんじん)なら、誰でも分かるぅ~。ワシの苗字、益田で良かった~!」
 そう言って、おじいさんは無邪気にはしゃいでいる。彼は、そんなおじいさんを見て、眉を下げて苦笑いしている。本当に、これではどちらが年上か分からない。
「して、お嬢さんの名前は?」
「私は―――――」
 私は、自分の名前と職業を簡単に紹介した。
「それじゃあお嬢さん、今晩は此処に泊まって、明日の朝6時半に起床、7時半には会場となる遊園地へ出発じゃ。食事や寝床は全て此方で用意するし、少ないながらに報酬も出せるしの。濡れた洋服は今日中に全て選択して、乾燥させるからの。あと、足りんものがあれば、四郎に言えば、適当に買って来るじゃろ。遠慮はいらん。今なら、ワシか四郎の添い寝サービスも無料じゃ。ワシも四郎も今はフリーじゃからな。あと、明日の細かい日程については、多分四郎が説明するからな。明日の黒幕は四郎じゃ。」
/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp