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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第4章 愛の唄 Ⅲ



「……。」

 私は、何とも言えない気分になった。勿論、ネットに掲載されている情報がすべて正しいとは限らないし、何よりもまず、あの“彼”が本当に“天草四郎”であると証明された訳ではない。それでも、この内容は、あまりにもひどいものに思えた。学生の頃、私はただ何となく教科書を読んでいただけだった。でも、もし、この内容が概ねその通りなのだとすれば、随分と凄惨な内容だ。
 精々高校生ぐらいの子が、それほどまでに大きな一揆の指導者などできるものだろうか? 周囲の人間が、人々の士気を高める一揆のシンボルとして、彼を “天草四郎”として担ぎ上げたのだろうか? その過程については、恐らく“天草四郎”本人も知らないかもしれない。それでも、まだ幼い少年でしかなかった彼の最期は、その首を刎ねられるという、悲惨なものだった。酷い時代の中で、“天草四郎”はその若い命を落としたのだ。
 あと、一般に“天草四郎”の名前で通っているが、それはどうやら、彼の本名ではないらしい。彼の本当の姓は、“益田”という、ありふれたものだった。私自身、今の今まで知らなかったのだが、“天草”というのは、地方の名前、つまりは地名だ。“東京”や“大阪”などと同じ、単なる地名ということだった。

 その日私は、記憶にある彼の顔を思い浮かべながら、眠りについた。


―――――深く、深く、眠った気がする。

―――――そう言えば、彼の笑顔は白百合のように綺麗だった。けれど、彼は本当に笑っていたのだろうか?



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