愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】
第4章 愛の唄 Ⅲ
繰り返される日々は静かなもので、平穏そのものだった。ただ、やはりサーヴァントとしての能力は損傷したまま、一部の機能やスキルが弱まっているようだった。例えば、神明裁決に必要な令呪は失われたままだ。真名看破などの能力は、サーヴァントと遭遇していないが為に、その能力が残っているのかどうかすら分からない状態だ。天草自身が把握していないだけで、他にも幾らかの機能に不具合があるかもしれない。だが、幸いにも、魔術回路は概ね無事のようだった。すぐにきちんとした休養が取れたことも大きいのだろう。時間の経過とともに快復した機能もある。黒鍵も使用可能で、洗礼詠唱も問題なく行えた。実際のところ、この世界で天草が自身の夢を叶えられる可能性は、相当低いものだろう。それでも、数多の人間を犠牲にしてきた天草は、ここで自身の歩みを止めるわけにはいかない。僅かな可能性であっても、それを頼みとするより他に、無いのだ。