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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第3章 愛の唄 Ⅱ


***

 翌朝、私が目を覚ましても、私の寝具に横たわる彼は、まだ眠っているようだった。一瞬、死んでいるのかとも思ったけれど、呼吸音が聞こえる辺り、生きているようだった。そう言えば、この“彼”について、私は名前も知らない。最低限、必要な会話をしただけだから、人となりも分からないけれど、丁寧な喋り方だったとは思う。身長は170センチメートルぐらいだろう。年齢は……、どうなのだろう。眠っている顔は、あどけない感じがするから、10代のようにも見えるけれど、童顔なタイプなら、20代と言われても納得はできる。まぁ、さすがに30代ということはないだろうけど。でも、髪は銀だ。この年齢で、白髪ということはないだろうから、やはり染めているのか……。日本語は通じるようだったけれど、肌の色からすると、日本人かどうかは分からない。日本人にしては、褐色が勝ち過ぎている。彼の寝顔を眺めてあれやこれやと考えてみても、結局のところ、彼に直接尋ねない事には、何も分からない。しかし、肝心の本人は完全に眠ってしまっている。やはり、本人が起きるのを待つしかなさそうだ。

 そう言えば、彼は少なくとも昨日の夜から、水1滴も飲んでいない。人間として、これはまずいのではないだろうか。しばらく食べられなくても何とかなるけれど、全く飲まないのは非常に危険だと聞いたことがある。体に優しい飲み物なんてわからないから、取り敢えず鍋に水道水を入れて、白湯を作る。適当に冷ましてから、彼を起こしてみようか。

 お湯が冷めるのを待つ間、彼の顔を見る。穏やかに眠っているのを起こすのは気が引けるが、お湯を飲んだ後、また眠ってもらえばいいと思い直し、彼の額へ手を伸ばす。昨日と比べて、熱は下がっているが、恐らくまだ熱があるのだろう。伝わってくる熱は、人間の平熱よりも高いものだった。

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