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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第3章 愛の唄 Ⅱ


***

「あーあ……。」
 私は、恐ろしい量の残業を終えて、やっと週末を迎えたのだった。
「疲れた……。」
 独り言でも言わないと、やっていられない。社会人なのだ。仕方がないことなのかもしれないけれど、やっぱり疲れるし、イライラもする。でも、まぁいいや。これで週末は完全にフリー。月曜日は何の日だったか忘れたけれど、とにかく祝日だから、3連休。溜まっていた映画を観て過ごすもよし、気晴らしにどこかへ出かけるもよし。まぁ、独身で独り暮らしだから、それほどまでに自由に使えるお金があるワケでも無いのは仕方がないけれど、それでも時間だけはある。今日のところは、早めに寝て、自由に過ごせる明日に向かって、エネルギーチャージといこうかな。
 そんなことを考えながら、足早に自宅へ向かう。もう夜も遅いし、何よりも寒い。雨だって降っている。私の耳には、傘が雨を弾く音が、やけに五月蝿く聞こえている。早く部屋へ戻って暖を取らないと、風邪をひいてしまいそうだ。
 幸い、自宅はもう目の前だ。鍵を開けようと、鞄から鍵を取り出した、その時だった。


「……っ、はぁ……、はぁ……。あ、あぁ……。」


 ……、誰……?
 今、確かに、誰かの声が聞こえた気がする。声からの推測だけど、多分、男……? まさか、変質者……?
 背筋に、寒いものが走る。いやいやいや、まさか、そんな身近に、いや、でも、分かんないし……。それに、今何時だ? もう少しで、日付も変わるようなこんな時間に?


「ぅ、く、う……! は、あ……。はぁ……、はぁ……。」


 苦しんで、いるのだろうか……? でも、こんな屋外で? それも、夜に?
 それって、何かこう、事件性があるんじゃないんだろうか……?
 それに、こんな時間に……? 事故? 病気? 行き倒れ……? 外は寒い。このまま放っておけば……。
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