愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】
第2章 愛の唄 Ⅰ
―――――彼の願いとは、つまるところ、こうだ。
―――――『全人類の救済』。
善なる者も、悪しき者も、富める者も、貧しい者も。
健康な者も、病める者も、聡明なる者も、愚かな者も。
美しい者も、醜い者も、幸福な者も、不幸な者も。
愛する者も、憎い者も、全て。総て。凡て。すべて。
どのような人間であろうとも、等しく救う。
それがたとえ、彼の大切な存在を害した、憎悪すべき対象であっても。
それを成すためになら、彼は彼の大切なものさえも裏切り、踏みにじる。
己が救うのは、個人ではないと、そう嘯きながら。
もう、そうするしか道は無いのだと、彼は、彼を閉ざし続けて。
――――――それはなんて、かなしいことなのだろう。