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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第8章 愛の唄 Ⅶ


***


 それから、天草と私は、適当に端末で連絡を取り合ったり、オフの日が合えば、同じ時間を過ごしたりして過ごしている。

 あの夜から、恋人らしい絡みもない。まぁ、見事振られている時点で、恋人も何も、あるわけないんだけど。だから、こちらから、そういったことを天草に求めるのは違うと分かっているし、天草からそういったことを仕掛けてくることも当然なかった。ついでに、私に新しい好きな人が出来ただとか、そういうことも、無い。なんとなく、それはできなかった。叶わぬ恋だと分かっているし、天草が私に振り向いてくれるなんてことも無いのは、充分に承知している。きっと私の現状は、見る人が見れば、滑稽なのだろう。絶対に叶わぬ恋に、いつまでも一縷の望みを託しているような、そんな光景なのかもしれない。それでも、私にとって、少しでも天草と同じ時間を過ごせることが、幸せだった。天草は、そんな私の心境を知ってか知らずか、その辺りのことについて言及してくることは無い。でも、予定さえ合えば、必ず私を迎え入れてくれる。茂蔵おじいちゃんは、病気のためにだんだん体が弱ってきているけれど、それでも笑顔で私を歓迎してくれる。
 願い事は、相変わらず、全然見つからない。一生懸命考えているけど、何となくもやもやするばかりで、それらが言葉になることはない。焦って結論を出そうとしたこともあるけれど、全然うまくいかず、結局は保留という状況で落ち着いてしまっている。






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