愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】
第8章 愛の唄 Ⅶ
「ううん。要らない。そんなの、全然。」
「……やっぱり、ですか。うん。貴女ならそう言うと思っていました。では、考えておいてください。大抵のものであれば、叶えられますから。」
その声に、一切の虚飾も、虚栄も感じられない。天草のことだ。そこには一切、嘘など無いのだろう。
眠れない夜は、しかし愛したひとの腕の中で、ゆっくりと、ゆっくりと更けていく。
この夜が、明けなければいいのにと思っても、それも叶わない。
夜が終わっても、朝が来ても、私は変わらずに、天草を好きでい続けるのだろう。この恋が天草に届くことなどないと、この恋は叶わないと知っていながら。
「――――――……っ。」
それでも、この腕に抱かれている。その喜びに、私の身体は震えている。
天草は何も言わず、ただその両腕で私を抱きしめていた。