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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第7章 愛の唄 Ⅵ



「ちょっ!? 私が夢で何を見たかまでは、分からないんじゃなかったの!?」
「えぇ、分かりませんよ。ですが、扉までは別です。あれは言わば、貴女が望めば、きちんと私の夢をみられるようにする為の、助走路のようなものであり、扉は関所のような物です。ですから、夢をみるまでの間、扉までであれば、私も貴女を感知することができます……というか、本契約ではない時点で、関所を開けるまでは、私が許可しなくてはいけませんから。」

「でも、あんなのひどい……! 鍵なんてどこにも無かったのに!」
「それは、此方にも言い分があります。まさか、あんなに早く関所までたどり着くとは思わなかったですから。本当は、もう少ししたら、此方から迎えに行って、比較的負担にならないような夢を選んでいただく手筈だったんです。それを、貴女があんな風に強行突破するなんて、此方としても予想外でしたから。」


『四郎、開けて。私、四郎のこと、もっと知りたい。お願いだから、ちょっとだけ、四郎の中に、入りたい。私は、四郎のことが―――――……え?』


 自分が、夢の中で言ったことが、まざまざと思い出される。あんなのは、ほぼ告白じゃないか……!!!!
 ここに来て、私は自分の顔に、かつてないぐらいに熱が集まってくるのを感じた。


「……――――本当に。俺には勿体無いぐらいの言葉だった。」
 天草はそう寂しそうに呟いては、俯いた。
「……?」
「いえ。何でもありません。まぁ結局、私は傲慢な存在です。人間を愛すことも出来ぬままに、人類を愛し、全てを救おうとしている。あの戦いで、誰一人として救えなかったが故に、です。人類を救済する―――その目的の為なら、手段は選びません。その障害となる者は、容赦なく、その一切を排除してきました。それは、これまでも、これからも、変わりません。」

「……そっか。」
 私は、それ以上の言葉が浮かばなかった。

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