第9章 I can smell.
「落ち着け、モブリット。大方、カリンに『いい匂いがする』とでも言われたのだろう」
「よく分かったな」
流石は団長といったところか、難なく原因がつきとめられた。
お陰で矛先が逸らされたことに、モブリットはほっと胸を撫で下ろす。
「ミケ、彼女と仲がいいのは結構だが…少々気が抜けすぎだ」
「今は構わんが、皆の前、特に部下の前では自重してくれ」
そう言ったエルヴィンだが、よもやブーメランになろうとは…この時の彼は知る由もない。
「…あぁ、すまん。今後は気を付ける」
「ところでリヴァ「やらん」
「モブリッ「大丈夫です!ミケ分隊長は大丈夫です!!!」
すっかりと油断しきっていたモブリットは慌てて全力で答える。
…一体、何が大丈夫なのか?
やはり誰にも分からなかった。