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調査兵団は今日もまったりです

第9章 I can smell.


というよりも、ミケは心中穏やかではいられなかったのだ。

信頼に足る優秀な部下二人。
その二人は、普段から特に仲が良い。それは素直に喜ばしい。

しかし、そんな二人が自分の背後でいちゃついている。
……かなりいい雰囲気で。

しかもうち一人は自分の想い人とあれば、実に複雑な心境であろう。


「ごめん、カリンが可愛くてつい」

「……」

危うく『それは分かる』と口をついて出そうになった。

「…はぁ」

その分のエネルギーを溜息で誤魔化したわけだが、どうやら勘違いした人物が一人。


「分隊長、ごめんなさい…」

「いや、いい。問題ない」

「あの、ナナバも…。ごめんね」

「謝らないで。私こそごめん」


しんみりとしてしまった…
しかし、この空気を霧散させることができるならばと、自らを差し出すことにしたミケ。

「……カリン」

「は、はい!」

「……ほら」

ミケは軽く首を傾ける。
二人からは見えないが、長めの前髪がさらりと流れた。

「あの…」

「確かめるんだろう?」

「そうだ、すっかり忘れてた。よし、カリン、今度こそ」


(…少しはいい思い、させてあげなきゃね)

ナナバは重ねたままの手をそっとミケの肩へ。

自然、カリンの手もミケの肩へと乗せられる。


「っ!」

「ミケ、そのままだよ」

「あ、あぁ」

カリンの手が触れたことで、明らかに動揺している。

しかし、それは触れられているミケだけではなく、触れているカリンもまた同じであった。


「な、ナナバ、あの…」

「どうしたの、確かめるんでしょ?」

(分かってるけどね。少しは…何かあってもいいと思うんだ)



「カリン、力抜いて。ミケは、動かないで」

ナナバがカリンの背中を優しく押す。

「こうやって……。後で感想教えて?」

「うん…」

「!!!」


うん、と言ったカリンの温かな息が、ミケの耳に掛かる。

「あの、ミケ分隊長…」

「…あぁ」

(あらら、顔真っ赤)

ミケの正面に回り込んだナナバは、彼の些細な反応も見逃すまいと真正面から見つめる。


「ナナバ、何故そんなに楽しそうなんだ……」

「え?」

ナナバの口元はにやにやのゆるゆるだ。

「いや…、ふふ。ごめんごめん、二人共続けて?」


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