第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
なぁぉ?
鳴き声に顔をあげれば、黒猫が机の上で行儀よく前肢を揃え、リヴァイを見ている。
「…あぁ、似合ってる」
何度でも見てほしい、そんな表情で首筋を伸ばす"リヴァイ"にリヴァイはそっと手を伸ばす。そして、優しく撫でてやる。
ちりん
涼やかな音に、思い浮かぶのは静流の顔。
「俺じゃない、オマエだ」
そう言っては、今度は黒猫の頭を指先で撫でる。
「アイツが気になっているのは、オマエだ」
黒猫の頭を、手のひらで包み込むように撫でる。
気持ち良さそうに目を閉じるその表情に、"リヴァイ"を抱き上げる彼女の姿が再び脳裏に浮かぶ。
(オマエもカリンも、こんな風に笑ってたな…)
リヴァイはその映像を消し去るかのようにかぶりを振り、そして真っ直ぐに黒猫を見ればためらいがちに口を開く。
「オマエだ。俺じゃ、ない」
…そういうことに、しておいてくれ。
自分自身に言い聞かせるように。
熱を帯びた唇が、音の無い言葉を紡いだ。