第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
『押し付けられただけだからな』
(嘘だ…)
あれは、あの花は、カリンを思い浮かべながら選んだ。
彼女の好みであろう花、彼女に似合うであろう花…
「クソ…」
リヴァイがこんな風に、誰かに贈り物をしたのは初めてだ。
いや、今までも何度かあった。だが、それらは全てエルヴィンからの、ある意味”命令”だった。
全く気乗りはしなかったが、兵団への出資に対してリヴァイ名義でのお返しをしたのだ。
ただそれらは、品物選びから添えるメッセージにいたるまで、全てエルヴィンが用意した。
だから…
今日が初めて。
正真正銘、自分で選んだ、初めての異性への贈り物。
「はぁ…」
リヴァイは大きくため息をつき、うな垂れてしまう。
机にひじを突き、組んだ手の甲で額を受け止めれば、再び大きなため息を吐く。
(なんだってこんなに調子が狂うんだ)
さっき花を渡した時だってそうだ。
手を伸ばしたカリンの指先が、花を握りしめるリヴァイの指先にほんの少し触れた。
それだけ。
たったそれだけで、そこには熱がともり、心臓が早鐘を打ちだした。
誤魔化すように、悟られないように。
足早にその場を後にしたが、今また心臓がうるさい。
(なんなんだ、カリンは…クソ…)