第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
ーー翌日。
「おい、ミケ」
「なんだ、…!?」
振り返りながら『何か用か』と言いかけたミケの襟元を、リヴァイが乱暴に引き寄せた。
二人は顔を突き合わせる。
その距離は、お互いの顔しか見えない程に近い。
何が何やら…ミケは状況が呑み込めず、無意識に眉間に皺を寄せリヴァイを見る。
そんなミケの視線を、ある意味いつも通り、こちらも眉間に皺を刻んだ表情で受け止めるリヴァイ。
視線が絡み合うこと、暫し。
リヴァイの手から、僅かに力が抜けたその瞬間
バチンッ!!!
「っ、何を、一体」
「気にするな。単なる八つ当たりだ」
「な、に?」
気が済んだのか、リヴァイはそれ以上口を開くことなく、ミケの脇をすり抜けすたすたと歩いていってしまった。
「……っ」
ミケは、そこをそっと摩る。
(人類最強は、デコピンまで最強、か…)
ミケの額から赤味が引いたのは、それから二日後のことだった。