第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
足早に部屋に帰り付けば、扉を閉めるなり盛大にため息を吐く。
(クソ…)
(落ち着け。大したことじゃない)
何かを断ち切るように、強く目を閉じる。
そんなリヴァイの耳に、聞きなれない音が届く。
ちりん
高く澄んだその不思議な音は、どうやらすぐ近くからしているようだ。
リヴァイがその音のする方へ視線を流せば、窓の外、ほんの数センチの桟へ器用に立つ"リヴァイ"の姿が目に映る。
「帰ったか」
そう言えば窓を開け、黒猫を部屋に迎え入れてやる。
彼が床に降り立った、その瞬間
ちりん
「…?」
先程聞こえた不思議な音が、部屋に響いた。
どうやら音の発生源は、自分と同じ名前の黒猫らしい。
「お前、その音はどこから出してやがる」
そういいながら抱き上げてみれば、その首に何かが巻いてあることに気づく。
黒猫の首元をほんの少し指先でかき分け見てみれば、見覚えのある色が顔を出す。
"リヴァイ"の首には、カリンに渡した花を束ねてあったリボンが巻かれていた。
そして、そのリボンには金色の丸い小さなものが通っている。
(確か、鈴…だったか)
初めてみるそれに、そっと指先で触れてみれば『ちりん』と可愛らしく音を鳴らす。
「これか」
なぁぉ
よく見ろ、とでも言うように軽く背筋を伸ばす"リヴァイ"。
姿勢を正せば首元がよく見える。
艶のある黒に胸元の白、そこにリボンと鈴の色がよく映えた。