第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
(やっぱり、何かお礼を)
部屋に戻り、机に飾った花を見てはカリンは無意識に何度も唸ってしまう。
何しろ、この花を受け取った時には、お返しはおろかまともな礼も告げられぬままにリヴァイは早々に立ち去ってしまったのだ。
(紅茶?お口にあうものを選べるかしら)
(茶器…は大げさすぎるわ…)
(ペトラさんに聞いてみる?でも探っているようであまり気分のよいものでもないし)
(それにもし、そのことを兵長が知ったら…いらないとおっしゃるわ、きっと)
大げさすぎず、出来れば好みにあうものを贈りたい。誰しもがそう思って当然だろう。
カリンはどうにかこうにか、考えうる限りの物や方法でリヴァイへのお返しを想像する。
が、どう頑張っても思い浮かびそうにない。
(どうしたらいいの…)
と、その時
なぁぉ
扉の外から、猫の声。
それは普段聞き慣れた"ミケ"猫のものではない。では今廊下にいるのは…
「あら、リヴァイ君。いらっしゃい」
そっと開けた扉の向こう、小柄な黒猫がきちっと前脚を揃えて座っている。
「…そうだ、丁度いいところに。よかったら入って?」
招き入れるようにさらに扉を開ければ、艶やかな黒は静かに室内へと足を踏み入れた。