第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
(ようやく着いたか…)
「…ふぅ」
リヴァイの斜め後ろから、小さな溜め息が聞こえた。
「疲れたんだろ?」
「いえ、失礼しました。申し訳ありません」
振り返ってカリンを見れば、ほんのりと笑んでいる。
「安心したんです。ここに帰ってこられて」
「…安心?」
「はい。私の家ですから」
それに、皆さんがいらっしゃいますから。
そう告げるカリンは本当に安心したように目を細める。
「それは」
「いや、いい……。やる」
「いいのですか?」
カリンは突き出されたリヴァイの手から花を受けとる。
「可愛いお花ですね」
「…っ、あぁ…」
リヴァイは顔を逸らしてそう答える。
つい今し方花を持っていた手を、強く握り締めながら。
「兵長、何かお礼をしたいのですが」
「いらねぇ。勝手に押し付けられただけだからな」
「ですが」
「しつこいぞ、何度も言わせるな」
それだけ言うと、リヴァイはその場を後にする。
何時もより速く、脈打つ心臓。
その拍動に合わせてリヴァイの歩調も速くなる。
(今すぐに…)
一分でも一秒でも早く、カリンの前から立ち去りたかった。