第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
「それより…他に、何か欲しい物でもあるのか」
先程まで流されつつも店を見ていた姿を思い出し、そう聞いてみた。
「いえ、ありません」
「じゃぁ、さっきまでのは何だったんだ」
「ごめんなさい、一度タイミングを逃してしまうと流れに逆らえなくて…開き直ってついでで見ていました」
だめですね、こんなんじゃ。と苦笑いするカリン。どうやら調査兵団から離れると彼女は割りとおっとりになるらしい。
(だったら……、全く…)
リヴァイは気付かれないよう溜息を吐くと、くるりと背を向ける。
「…帰る」
「はい。あの、本当にありがとうございました」
リヴァイの背に向けて、深々と頭を下げるカリン。
そんな彼女へ振り返らず、リヴァイは静かに一歩踏み出す。が、カリンはその場に立ち尽くしたまま。
「…あ"?何勘違いしてやがる、お前も来い」
「私も、ですか…?」
当然だ。あの人混みに一人で放り出せば、また流されてあらぬ方へ行ってしまう。
それだけならまだいい。この先陽が落ちてくれば、他にも心配すべきことは多々出てくる。
「遠回りせずに、一人で帰ってこられるのか?」
「いえ、無理です…」