第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
「……」
「…?」
カリンはリヴァイよりも、少しだけ背が高い。
そんな彼女を、ほんの少し顎を上げて正面から見る。
(クソメガネよりかは、少し低いか?)
口には出さないが、正直背の高い女は苦手だ。いつだったか、着飾ったお貴族様に取り囲まれては上から、いや頭上からあれやこれやと言われたことがあった。実に不愉快極まりない。
何を言われたかまでは覚えていないが、『小さくて案外可愛らしい』この一言だけは忘れようもない。
当然だろう。そう言った人物は無駄に踵の高い靴を履いていたのだから。
(クソ、嫌なことを思いだした…)
俯き、無意識に眉間に皺が寄ってしまえば、心配そうにカリンがリヴァイを覗き込む。
「どうかされましたか…?」
(コイツは、言わない)
根拠があるわけではない。だが何故かそう確信できた。
勿論、他にもいる。ハンジやナナバだ。彼女らも同様に、馬鹿にするようなことは絶対にない。
いや、ハンジは時たま口にする。
しかし、今思いだしたように、不快感を伴うことはない。
(俺も随分丸くなったか)
そう思いながら、無意識にカリンの頭から足先までを再度往復する視線。
きっとリヴァイを知る人物でなければ、間違いなく憤慨していただろう。
または、予告なしで鋭い平手打ちをお見舞いしていたかもしれない。
「あの兵長、何かおかしいでしょうか…?」
流石に観察されていることに気づいたカリンは少し俯きながら尋ねる。
きちんと洗っているのですが…そう小さく呟いては心配そうに肩や腕、腿の辺りを軽く叩いていく。
「っ!…悪い、そういう意味じゃない」