第1章 猫と団長と伝言ゲーム
「君は、そうだな」
書類の上で眠る一番大きな白猫。
所々薄茶色と黒色の部分がある。額は真ん中から左側が黒、左右対称になるよう右側が薄茶色。まるで前髪をセンター分けにしたようだ。
「真ん中分け、白黒茶、三毛……よし、ミケだ」
ミケと呼ばれて閉じていた眼を開けると、ちらとエルヴィンを見やりまた眼を閉じる。
どうやらミケと呼ばれることに不満はないようだ。
「次は、君だな」
興味深げにきょろきょろと室内を見ながら歩き回っている茶色の猫。
全体に毛足の長い体毛は、歩く度にふわふわと揺れている。その様子はある人の高く結い上げられた髪を連想させた。
「ハンジ、どうだろうか?」
にゃあ!
元気よく返す茶色の猫は嬉しそうにエルヴィンを見ている。どうやらこちらも気に入ってくれたらしい。
「最後は、君だな」
先程から前足をきちっと揃え姿勢よく座る黒猫。よくみるとその胸元の毛は白い。
「まるでクラバットだな。リヴァイ」
問題ない、ということだろうか。
黒猫はすっと眼を細めると軽く頷いた。