第7章 リヴァイとリヴァイと気になるあの人
(何してやがる)
買い物客で賑わう市場。
そこで偶然見つけたのは、紛れもなくカリン。
何を買い求めたのか、大事そうに両手で買い物袋を抱えては、さらに何かを探すように店先をあちらからこちらへと見て歩いている。
…と言えば聞こえはいいが、実際のところは人の波に流されている。
リヴァイは一瞬、声を掛けようか、とも思ったがその間もなくどんどんと流されては遠ざかっていくカリンの後ろ姿。
(面倒くせぇ)
流石にこの距離では…そう思いすぐさま踵を返そうとする。
が、彼女が流されていく先は兵団の敷地とは正反対の方向。
このまま流されていけば、いずれ市場から出られるだろう。勿論、そこから兵団へ帰ってくることもできる。
…かなり遠回りにはなるが。
「チッ」
聞きなれた舌打ち。
だが、今ここにいる誰もが聞いたことは無い。その証拠に、誰も足を止めないし、顔を顰めることもない。
リヴァイはカリンの後ろ姿を見失わないよう真っ直ぐに見据えると、足早に歩き出した。