第5章 時間じゃないが、全員集合
わふっ
ぱたぱたぱた
「ミケだ、よろしくな」
「カリンです。よろしくね」
「あの、なんと呼べば…」
「エルヴィン、で構わないが」
「俺達はいい。だが、他はそうもいかないだろう」
たとえ犬でも、団長と同じ名だ。
いいと言われたとて一兵が呼び捨てになどできまい。
「…ではカリン、代表としていい呼び名をつけてくれないか?」
「私でよいのですか?…では、エル君、で」
ワン!
ぱたぱたぱた
がしっ!!!
「きゃっ!」
「カリン!」
突然、"エルヴィン"がカリンの肩に前足をかけて立ち上がる。
よろけたカリンの背中をミケが支えてやれば、否応なしに縮まる二人の距離。
目と鼻の先には、ミケを誘う首筋。
(…!やはり、いい匂いだな)
この角度では、俯くカリンの表情は見えない。
だが見えなくてよかった。彼女の頬は間違いなく赤く染まっていたのだから。