第5章 時間じゃないが、全員集合
(悪くない)
手際よく、かつ自然にすませたカリンにリヴァイは感心する。
「ついでだ、コイツも頼む」
立ち上がったカリンに正面から近づけば、黒猫は流れるような動作で肩から肩へと飛び乗った。
「あの、この子はなんと呼んだら…」
「"リヴァイ"でいいだろう」
さすがにそれは…とカリンは困り果ててしまう。
「何がいけない?」
「呼び捨ては、やはり…」
「"リヴァイ君"では、だめでしょうか」
なぉ
「それでいい」
「へぇ…。なんか、そういうのは嫌がるかと思ってたけど」
ハンジはにやにやしながら、リヴァイの顔を覗き込む。足元では"ハンジ"が同じ表情で見上げている。
「それってカリンだから、だったりする?」
「……どういう意味だ」
声をあげたのはリヴァイ、ではなくミケ。
怪訝な表情を浮かべ、無意識にハンジを睨み付ける。
「おっと、ごめんごめん。他意はないよ」
(やっば。ちょっとうっかりしちゃったよ。なにしろリヴァイの反応が珍しくてね)
「…猫がいいと言った。それだけのことだ」
(まさか、リヴァイまで…)
いぶかしがるミケの視線に気づいたのか、リヴァイは『これ以上は無用である』そう含ませた視線を送り返す。
それぞれに理解すれば、ハンジは頷き、ミケは軽くため息をついた。
「えっと、リヴァイ君、よろしくね?」
固くなったと思えばリヴァイの一言でまた元に戻る雰囲気。困惑しつつも、再び腰を降ろしたカリンは"リヴァイ"の爪を切っていく。
「はい、お仕舞い。あなたもいい子ね」
みゃぉ
"リヴァイ"も同じく、礼だと言わんばかりにカリンの頬に頬擦りした。