第5章 時間じゃないが、全員集合
「なにが起きてる?」
「あぁ、うん。ちょっと爪を切ってあげようとしたんだけどね」
普段はモブリットがしてくれてるんだけど…とハンジは頭をかく。
こうして二人が追ってきたところを見ると、どうやら生憎と不在らしい。
「無理に今日しなくてもいいだろう」
ミケは"ハンジ"を横目で見ながら、思ったことをそのまま口にした。
「…わざわざ俺の部屋に来て、椅子の足でとぎやがった」
リヴァイは憎々しげに"ハンジ"を見る。
要するに、"ハンジ"は爪を切ろうとしたハンジから逃げリヴァイの元へ。
そこで彼の逆鱗にふれた。そして、捕えようとしたリヴァイの元からも逃げ出してきた、と。
「あの、よかったら私切りましょうか?」
「え、いいの?助かるよ。これ使って」
カリンは柔らかな草の上に腰をおろせば、リヴァイから猫、ハンジから爪切りを受けとる。
「大丈夫よ、怖くないからね。えっと…」
「ハンジでいいよ」
「いえ、そんな…。あの、ハンジちゃん、と呼んでもいいでしょうか?」
「いいよいいよ!すっごくイイ!」
いきなりテンションの上がる眼鏡の分隊長。
ナニカが琴線に触れたらしい。
「ほら、ハンジちゃん。怖くないよ?」
「くぅぅ~~~、イイね!すごくイイ!」
((妙なテンションのコイツは怖いがな))
そんなことを考えるミケとリヴァイの目の前、カリンは丁寧に"ハンジ"の爪を切っていく。彼女も先程までとは違い、大人しくされるがままだ。
「はい、お仕舞い。もうわがまましちゃだめよ?」
にゃうん
素直に返事をすると、"ハンジ"は背伸びをして カリンの頬に頬擦りした。