第5章 時間じゃないが、全員集合
よかった。
団長起きてらしたのね。
隣には…ふふ、やっぱりそっくりな空色。
思わず手を振れば、背中越しにかかる声。
「なにかあったのか」
そう耳に届いた瞬間、お裁縫、繕い物、結婚、一気に思い出して…
ほんの少し、頬が熱くなった気がしたの。
「いえ、なにも」
俯いてそう答えるのが精いっぱいだった。
だって
『貴方のことが思い浮かびました』
そんなこと言えないから。
スンスン
いつもの癖。だけど…
そうされる度、私の頭の中は貴方でいっぱいになっていくこと、気付いてらっしゃいますか?
そっと表情を伺い見れば、軽く顎を上げて見つめる横顔。
視線の先は、もう誰の姿も見えない窓辺。
(分隊長も、心配してらしたんですね)
…そんな団長が羨ましい、なんて思ってしまう。