第5章 時間じゃないが、全員集合
今のは…
「カリン、なにかあったのか」
「え」
エルヴィンに向け小さく振っていた手を止め、俺を振り返る。
「いえ、なにも」
そう言っては、ほんの少し体温が上がったな?
きっと誰にもわからないだろう変化が、俺にはわかる。
スンスン
「あの、どうかなさいましたか?」
「……」
あぁ、ほら…
しかし、よりにもよってアイツとは。
確か"強力なライバル"だったか。
…自分のことじゃないのか?
カリンにこんな匂いをさせるなんて。
見上げた先、窓の向こうにはもう誰の姿もない。
(先が思いやられるな…)