第4章 空色カメラ
「私にどうしろというんだ。君は」
(自覚しろと、そういうこと…なのだろうか)
気付いた時には、目で追うようになっていた。
だが、ただそれだけだったのに。
「"ミケ"と同じになってしまったな」
それはどちらのことを指しているのか。
ほんの少し眉尻を下げれば、そっと隣に寄り添うもう一人の空色。
一つ軽く撫でてやれば、気持ちよさそうに目を閉じる。
撫でる指先から流した視線の先、窓の外には今しがたまで思考を占めていた彼女がいる。
そしてその隣に立つのは、こちらもよく見知った人物。
(さて、どうするか、どうなるか…)
今度はほんの少し口角を上げながら、自分で自分を観察してみるか。と冷静に考える。
実におかしな話ではあるが…
ただ、この気持ちに今すぐ蓋をするなど、したくはなかった。
きっとそれだけのこと。
よくよく見れば、窓硝子に映る自分の顔。
二つの空色は、真っ直ぐに、そらさずに。
その先には、カリンの姿。
何かの悪戯だろうか。
彼女がゆっくりと振り返る。そして小さく手を振った。
澄んだ空色を、しっかりと受け止めながら。
同じように手を振り返せば、隣では"エルヴィン"が窓枠に前足をかけ立ち上がる。
彼もまた、その綺麗な空色で同じ先を見つめていた。